a Piece of Cake.
わたしが五歳の頃。幼稚園のときの記憶を辿る。
「幼稚園で、友達と好きな子を取り合ってたのしか思い出せない……」
「その頃から依理須さんですね」
ふ、と笑われた。確かにそれはそうだけれど、とその顔を見上げれば優しい顔をしている。
「お暑い中、当館に来ていただきありがとうございます! それでは少しでも涼しくなって頂けるよう、イルカのハナちゃんがジャンプを見せてくれます! それでは皆様、準備は良いですかー?」
観客席にいる子供たちが元気良く返事をした。
わたしも水槽の方を見る。ハナちゃんが今までのどれよりも高いジャンプをした。


