a Piece of Cake.

意味を理解して、耳が熱くなるのを感じた。
夜で良かった。

「可愛くないので……三十路手前ですし……」

照れながら否定する。

「それにわたしが振られたのも事実ですし」

重いと言われたのも、浮気されたのも。

「それは相手が悪かった」
「まあそれは、そうなんですけど」
「急には無理だと思うし、色々考えてもらって良いんだけど。良かったら、お付き合いを前提に? 友達に……?」
「うん?」
「つまり、首藤さんが良ければ俺と付き合ってくれませんか?」

その言葉に驚き固まると、ぶんと木谷さんが手を振った。

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