a Piece of Cake.
尋ねると、電話の向こうで笑う声がした。
あの聡現くんが爆笑する姿が想像できない。
『お願いします。ケーキ屋冥利に尽きます』
「そんな大袈裟な」
『酔ってます? 声が明るい』
その言葉に、なんとなく上を向いた。
「今日ねー、告白されたんです」
『なるほど、おめでとうございます』
「あ、酔ってないよ? いつもくらい」
『それは結構酔ってるな』
「付き合うかどうかは少し考えてるとこ」
『人の話も聞いてないな』
「聡現くん」
今日は良い日だ。
明日、何のケーキ買おうかな。
「ケーキ楽しみにしてるね」
『……どうぞ、ご贔屓に。気をつけて帰ってください』