a Piece of Cake.

最寄り駅からぽやぽやした気持ちで歩いて帰っていると、携帯が鳴った。

ぽやぽやした気持ちでそれに出た。

『こんばんは。お世話になっております、三輪です』

その固い声に、現実に戻される。

『首藤依理須様のお電話でお間違いないでしょうか?』
「はい、そうです。こんばんは」
『外ですか?』

声が柔らかくなり、春の夜の風を感じた。
葉桜が揺れる。

「うん。帰ってるとこ」
『そうですか。タルト、明日以降いつなら取りに来られます?』
「明日行きます!」
『因みに何ピース?』
「とりあえずひとつで。他にもケーキ買って良い?」

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