カンパニュラ

‘ママへ

寒中お見舞い申し上げます。
暖冬とはいえ、朝晩の冷え込みは辛いものがありますね。
おかげさまで私は元気に毎日を過ごしておりますのでご安心ください。

何もしてあげることの出来なかった母親だとお手紙にはありましたが、私はママが毎朝作ってくれたいろいろな種類の朝食が好きでした。そして一人暮らしを始めてから、少しずつそれを真似ています。

ママの朝食があって体力に自信のある私になったと思うので、何もしてあげることの出来なかったとは思わないで下さいね。

まだ冬は続きます。どうぞお風邪など召しませぬよう、お体を大切にお過ごしください。

鈴’

一枚の便箋が余るほどの手紙だったけれど、また気が向けば書いたらいいかと思い封をする。

「陽翔さん。ポストまで行ってきます」
「俺も行く。そのままフルーツタルトを食べに行こうか?それとも観覧車?」
「フルーツタルトと紅茶がいいです」
「いいね。ここはいいところだよな…部屋どうしようか迷うな」

私と彼の部屋を行き来しながら、4月の結婚式後にどこを二人の拠点にするかを悩んでいるところだ。
< 168 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop