幼馴染みとの契約交際が溺愛必須に変更されました。

 はあ、と呼吸を落ち着かせる間もなく、体が浮いた。
 「ひゃっ!?」
 いわゆるお姫様抱っこを初めてされて、驚きすぎて変な声が出る。勢いで脱げた靴が転がる玄関から、部屋の奥へと運ばれる。
 やけに丁寧にベッドの上に下ろされたかと思うと、次の瞬間には、ベッドに乗り上がってきた倫之に組み敷かれていた。
 どういう状況になっているか把握して、ぞくっと体が震える。
 起き上がろうとした上半身は、彼の体に阻まれる形でまたベッドに倒された。そのまま押さえつけられるようにして、ふたたび唇を重ねられる。
 リップ音と、絡められる舌が立てる唾液の音が耳につく。今まで感じたことのない、倫之の匂いと体温を、この上なく近い距離で否応なく感じさせられていた。
 ──彼が、男性であることは、理解していたはずだった。
 なのに、いま私にのしかかって執拗にキスを続ける倫之は、まるで知らない「男」だった。
 「……っふ、う」
 長い口づけがようやく終わって、息をついたのも束の間。
 彼が私を解放する気がないのを知るのに、時間はかからなかった。
 首筋に滑らされた感触に、息を詰める。
 「あ、……っ」
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