「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「フィオナも、ベアトリスは……聖女として、国の守護結界を張っていることを知っているよね? あいつ以外ならあんなにも広い範囲を守ることは結構な負担なんだけど、能力の相性でそういう結界術や、通常なら治せない怪我も瞬時に治せる治療術に優れているんだ」

「はい……それで、魔王討伐時も大変だったと……」

 確か勇者シリルはわがままな彼女のご機嫌を取りつつ、魔王討伐という最終目的を果たしたはずだから、治療術やサポート系の魔術などを得意としていることは知っていた。

「うん。だからさ……もし、ルーンがベアトリスの結界に封印されたら、あいつは魔法使えなくなるかもしれない。ベアトリスの結界って結構便利が良くて、なんなら自分の条件に合うように閉じ込めるための結界を作ったら、いくらルーンでも内側から出てくるのは難しいかもしれない」

「そんな……」

 それは手こずるどころの騒ぎでもなくて、手も足も出なくなってしまうのではないだろうか……私が驚いて絶句したと見ると、シリルは苦笑して首を横に振った。

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