「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「ねえ……シリルって、結婚向きの人だったの?」

「うん。ベアトリスから見ると、そうだったみたい……けど、俺はちゃんと良い恋人にだってなれるよ! フィオナ相手なら……というか、フィオナ限定で!」

 もしかしたら、ベアトリス様に恋人として付き合うならさっきのライリーさんと言われていたことが心のどこかに引っかかっていたらしいシリルは、慌ててそう言った。

「ふふ。私たちは恋人になるより結婚証明書を出す方が、先だったもの……恋人からよろしくお願いします。シリル」

「うん。ゆっくり距離を縮めよう……うん。そうだよ。まだ、十月間も……あるからね」

 なぜかさっきより遠い目になってしまった夫を、どうしてか不思議になって私は首を傾げた。
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