「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。

21 仲直り

 ライリーさんの大剣から繰り出される攻撃を受けていたモンスターは、短時間でみるみるうちに小さくなり、やがて跡形もなく消滅してしまった。

 勇者のシリルもそうだけど、魔法使いルーンさんや今回初めて会った剣聖ライリーさんは、世界でも最強の人たちなんだと今更ながらに実感をした。

 私たちはなんなくモンスターを倒し、地上に降り立ったライリーさんと合流して、とりあえずロッソ公爵邸に戻ろうとシリルが乗ってきた馬車がある場所へと歩いて向かった。

 今ヴェルデ侯爵家に到着したらしい治安維持専門の騎士団の責任者が、何があったのか詳しい事情を知りたいと言ったので、先に捕らわれていた被害者のルーンさんが手を上げて彼が説明することになった。

 シリルに知らせたその足で、ジャスティナがこちらの騎士団にも通報してくれたらしい。

 先ほど王都へと召喚されて何が起こっていたのか、まだよくわかっていないライリーさんも、説明があるならちょうど良いと騎士団本部へと向かうルーンさんと同行することになった。

 そして、シリルと二人で先に帰ることになった私は、ロッソ公爵家の馬車に乗る直前に、幼い頃から見覚えのある紋章のある馬車を見つけて、体が自然と動いてそれに向かって走り出していた。

 私がそこに着く前に扉が勢い良く開いて、やっぱりそこに居たジャスティナが飛び出してきた。

 久しぶりに見た彼女はお洒落な彼女らしくなく、動きやすい飾り気のないドレスを着ていた。

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