「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「悪魔が強くて、本当に困ってる……ねえ。フィオナ。君は街頭に立って困っている俺を助けてくれた。これからは愛情表現が足りなかったかもしれないから、俺ももっとわかりやすく君を愛していることを表現するようにする」

 そう言って何度か髪にキスはしてくれるけど、キスをするだけなのにどうして天使と悪魔の話になるのかが、私にはわからない。

「ねえ。シリル。今日は、一緒寝てほしい」

 私が甘えるようにそう言ったら、シリルは目を細めて不思議そうな顔になった。

「え。フィオナ……ごめん。願望が聞こえた、幻聴かな?」

「もう……幻聴ではないわ。今夜は一緒に寝て欲しいって、そう言ったの。今日は眠れそうもないから、一緒に居たいの」

 シリルははーっと大きく息をついて、何度か頷いた。

「……怖かったもんね。わかってる。わかってるよ。俺はフィオナを愛しているから、なんでも……なんでも、耐えられるよ……あ。ごめん。とりあえず、一回冷たい水を浴びて来て良い?」

「え……? どうして? シリルはさっき、お風呂に入ったところではないの?」

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