「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 シリルが私の方を見たので、私も彼の方を見た。強い眼差しで言葉はなかったけど「自分が一緒に居る」とそう言ってくれたような気がした。

 私は大きく息を吐いた。

 ここで彼女に罵詈雑言を投げつけたところで、絶対に後悔するだろう。私にはシリルが居るし……ロッソ公爵夫人として、冷静に対処すべきだった。

「ジャスティナ。これ以上、何も聞きたくない……もう、聞きたくないわ。ごめんなさい。私、今日は冷静に話せそうもないから……帰ってもらっても良い?」
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