「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。

14 予感

「ああ……なんて、可愛いんだ。俺の妻は天使なのかな? 白い羽根は、どこかに置き忘れて来たの?」

 軍で戦闘顧問として働いているシリルの休日だったので、私たちは結婚式用のドレスを見に来ていた。

 結婚式に前向きになった私を喜んでくれたシリルは、とりあえずどんなデザインが気になるのか見に行こうと、王都でも最高級店に連れて来てくれたんだけど、あれもこれも何枚も試着してすっかり疲れてしまった。

 なぜなら、結婚式用のドレスはデイドレスとか晩餐会や夜会用のイブニングドレスとか……そういった日常使いのドレスとは、工程が全く異なるものだからだ。

 レース編みのヴェールに、長い長い丈のドレス。

 試着して気に入った形を参考に、このメゾンの最高責任者が私の雰囲気に合うようなデザインを、後日邸にまで来て提案してくれるらしい。

 シリルは実際に着て見てみないとわからないからと、私を有名なメゾンに連れてきてくれたんだけど、本来ならデザインから進めてしまうことも多いらしい。

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