今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
「じゃあ、おしゃべりする?」

「寝ろ」

 エステルは毛布の中から手を伸ばし、ゼファーの手を握った。

「眠らないで過ごすには、夜って長すぎると思う」

「慣れた」

 ゼファーはエステルに手を握られたまま、彼女のほうを見ずにつぶやく。

「食事を取らずにいるのも、眠らずに過ごすのも、もう慣れた」

 もう一度言うのを聞き、エステルの胸が少し痛む。

「それは……封印されていたせい?」

「そうだな」

「……そっか」

 エステルにはもうなにも言えなかった。

(そういえば、封印されている間も意識があったって……)

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