冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
詳しいことは私の口からは言うことはできませんが……。そうですね、端的に言うなら――自分の力不足のせいで、命より大切な人をむざむざ目の前で失うことになった――というのが正しいでしょうか。
「――その人には使命があった! 多くの人を助け、笑顔にすることを願い、それを実現できる人だったのに! 誰も、彼女を救ってやれなかった……。だからせめて俺は、代わりにその願いに殉じてやりたい。そうしなければならないんですっ……!」
血を吐くような叫びで私に事情を明かした後、彼はしばし顔を伏せ、嗚咽を響かせた。事が起きたのがここに来る一年や二年程前のことと言いますし、傷など癒えるはずもなかったでしょう。軽率に聞き出したことを私も後悔したものです。しかし彼はうつむくのではなく、無理矢理にでも前を向き、立ち上がることを選んだ。
その姿が私には悲しくも眩しく見え、同時に……激しく頬を叩かれた気分にもなりました。
(確かに私は希望を失った。しかし、その挫折から立ち上がる方法を私は一度でも考えたことがあったか……)
「――その人には使命があった! 多くの人を助け、笑顔にすることを願い、それを実現できる人だったのに! 誰も、彼女を救ってやれなかった……。だからせめて俺は、代わりにその願いに殉じてやりたい。そうしなければならないんですっ……!」
血を吐くような叫びで私に事情を明かした後、彼はしばし顔を伏せ、嗚咽を響かせた。事が起きたのがここに来る一年や二年程前のことと言いますし、傷など癒えるはずもなかったでしょう。軽率に聞き出したことを私も後悔したものです。しかし彼はうつむくのではなく、無理矢理にでも前を向き、立ち上がることを選んだ。
その姿が私には悲しくも眩しく見え、同時に……激しく頬を叩かれた気分にもなりました。
(確かに私は希望を失った。しかし、その挫折から立ち上がる方法を私は一度でも考えたことがあったか……)