冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「何を言う……それは貴様の方だろう、リュアン。いや、元ガレイタム王国第二王子レイアム! 国外追放されたお前が、なぜ今更戻ってきた!」

 厳しい糾弾を突き付けたジェラルドに、リュアンは告げた。

「確かに俺はあの時の責任を取るために、甘んじてその処分を受けました。しかし、あの時の取り決めにはこうあったはずだ。『月の聖女を見出し連れ帰ることあらば、追放処分は不問に付す』と!」
「それがどうした! セシリーはお前の手によってではなく自らこちらの国に来たのだ!」
「それはわかっている! ですがあなたは母親の墓前に花を供える為にフィエル村を訪れた彼女たちを不当に拘束した! オーギュスト氏からはそう証言が得られている! 彼らはまだファーリスデルの国民です……本来ならば返還を申し出るならそれなりの手続きを取ってからにすべきでしょう!」
「それを言うならば彼らの身元をろくに調べもせず受け入れたファーリスデル王国側にも問題があるだろう! そしてそれが貴様がここにいることと何の関係があると言っているのだ!」

 ジェラルドは声を荒げ、リュアンを威圧する様に一歩前に出た。
 それに対し、リュアンは何も恥じるところが無いというように、背筋を正して言った。
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