冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「わぁ……それじゃ今度、魔法騎士団にいるリルルも連れて来ますね! 白い狼の精霊なんです……丸っこくてふわふわで可愛いですよ! でもよかった……再封印は不可能だって聞いてたから」
「ふふ、人間様を舐めてもらっちゃ困るってことですわ! 後は多少のポカがあってもこのフレア・マールシルトがなんとかしますから、大船に乗った気分でいればよろしくてよ! おーっほっほっほ!」
「フレア、その笑い方だけは王妃になったら直さないとね」

 高笑いを何度も響かせる彼女にやれやれ顔の王太子が注意し、朗らかな空気の中リュアンはセシリーに笑いかける。

「よかったな、セシリー」
「はい!」
「……先程から思っていましたけど、おふたりはどういったご関係ですの?」
「「え?」」

 それを見たフレアからの質問にふたりは同時に目を丸くし、お互いの顔を見て頭を悩ませる。 

「従業員と雇い主……。いや、俺が給金を払っているわけでもないからなぁ。上司と部下、とか?」
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