冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「え……なんですか? 同志とか、仲間とか……もうちょっと言い方があるでしょうに。冷たくないです?」
「……別に冷たくない」「冷たいです!」

 そんなことをひどく近い距離で言い合うふたりに、フレアは笑いを噛み殺しながら納得した。

「絶賛進展中の間柄、ということですわね。もちろん今度の節刻みの舞踏会もおふたりで出られるんでしょうね?」
「え、どうかな……今回の件がどう転ぶか分かりませんし」

 そこで弱気になったリュアンを、この男が見逃すわけがなかった。

「ほうほう、それはうまくいけば出る予定だということですね? ちゃんと聞きましたよ団長。いや~安心しました。またあんな子供っぽい態度を取られたらどうしたものかと思っていましたのでね」
「こ、こらキ、キース! こんなところでまで人の恥を晒そうとするな!」

 キースによる唐突なリュアン弄りが開始され、フレアは興味深そうにくりくりと目を動かす。
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