冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「そんな態度とはなんですの!? セシリー、ねえねえ教えて!? 」

 その圧に負けセシリーもついついそんな話に乗っかってしまう。

「え~、実はですね……一回団長に盛大に振られちゃいまして」
「まぁひどい! セシリーの何が不満ですの!?」
「セシリー、あれは違うだろ! あ、あの時俺は自分のことで手一杯で……」
「でも、私も傷ついちゃいましたもんね」
「その後フォローしただろ!」

 あろうことか王城の一室で始まったリュアンとセシリーの喧嘩から、煽った本人のキースはさっさと非難し、王太子と言葉を交わす。

「まぁ、あのふたりはあれくらいが丁度いいんですよ……最近面倒事が多かったですから。殿下、うるさいのにはしばらく目をつぶっていただけると」
「はっはっ、いい雰囲気のふたりじゃないか。私たちも頑張らないとな、フレア」
「舞踏会が楽しみになってまいりましたわね!」

 レオリンとフレアもお互いの顔を見て仲睦まじく笑い合う。

 我に返った後、しばらくして王城を後にするリュアンとセシリーは、人に見せられない程真っ赤した顔を俯かせており……後ろに続くキースはそれをひとりご満悦な顔で見下ろしていたのだった。
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