冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 外套を羽織りながら言葉少なに伝えたラケルは扉を開け、外にいたふたりの女性を招き入れ去ってゆく。新しく働き始めた世話係の女性たちは、しばし彼に見惚れた後、ロージーを手招きする。

「あっ、副団長お疲れ様でした――。皆さんお邪魔してすみません。ロージーさん、ちょっとちょっと」
「教えて欲しいことがありまして……」

 そんな彼女たちの声を受け、ロージーは大きく背を伸ばして立ち上がった。

「ごめんごめん。ん~~~、さぁて、あたしもそろそろ仕事しますか!」
「男ふたりで顔を突き合わせるのもなんですし、私もそろそろお暇しますかね。おや、可愛らしいお嬢さんたちですね。お名前は?」
「えっえっ? もしかしてと思ったんですけど、正騎士団長様……?」「素敵! 握手して貰えますか!?」
「キース! あ・ん・た・はとっとと出る! 仕事の邪魔しない!」
「いたたたた……! 何ですかロージー、焼きもちですか!? まったく、構って欲しいならそうと言ってくれればいくらでも……」
「ちゃうわ! とっとと自分の騎士団に戻らんか!」
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