冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「いーな―ロージーさん」「待って下さいよ~」
ロージーに耳を掴まれ引きずられて行くキースと、それに着いていった世話係のふたりの姿を見ながら、リュアンはひとりになるとこらえきれずに吹き出す。
「くくっ……ははははは! 相変わらずでいいなぁ、あのふたりは……」
彼としてはもう少し、思い出話に花を咲かせたかったのだが、皆忙しいのだから仕方がない。ひとしきり笑った後、静まった室内に少しだけ寂しさを感じながら、リュアンが目をやったのは一枚の手紙だ。
オーギュストからのもので、それには彼の近況が書かれていた。イーデル公爵の賠償や、セシリーの功績による国王の手厚い支援によりクライスベル商会が持ち直した後、彼はルバートやチャドルに経営を完全に任せ、ひとり北へと旅立った。
以前譲渡を受けた領地も魔物が減ったことでいずれまた人が住み始める。それを見越して伯爵としての責任を果たしに行った彼は、新しい領主としての仕事に勤しんでいるのだろう。しかし、そんな慣れない作業で忙しい中であっても彼は週に一度の手紙は忘れない。セシリーが帰ったらくれぐれも一報をと書き連ねた手紙からは、娘への溺愛ぶりが健在なのを窺わせた。
ロージーに耳を掴まれ引きずられて行くキースと、それに着いていった世話係のふたりの姿を見ながら、リュアンはひとりになるとこらえきれずに吹き出す。
「くくっ……ははははは! 相変わらずでいいなぁ、あのふたりは……」
彼としてはもう少し、思い出話に花を咲かせたかったのだが、皆忙しいのだから仕方がない。ひとしきり笑った後、静まった室内に少しだけ寂しさを感じながら、リュアンが目をやったのは一枚の手紙だ。
オーギュストからのもので、それには彼の近況が書かれていた。イーデル公爵の賠償や、セシリーの功績による国王の手厚い支援によりクライスベル商会が持ち直した後、彼はルバートやチャドルに経営を完全に任せ、ひとり北へと旅立った。
以前譲渡を受けた領地も魔物が減ったことでいずれまた人が住み始める。それを見越して伯爵としての責任を果たしに行った彼は、新しい領主としての仕事に勤しんでいるのだろう。しかし、そんな慣れない作業で忙しい中であっても彼は週に一度の手紙は忘れない。セシリーが帰ったらくれぐれも一報をと書き連ねた手紙からは、娘への溺愛ぶりが健在なのを窺わせた。