□TRIFLE□編集者は恋をする□
 


「ねぇ、平井。最近化粧品変えた?」

「え?」

葉月さんの唐突な質問に、私は間抜けな声を出した。
化粧品?
別に何も変えてないけど……。

「最近なんだか平井の肌艶がいいから。化粧品変えてないなら彼氏でもできた?」

「えぇっ!?」

「当たりね」

さっきよりも大きいリアクションをした私に、葉月さんは勝手に解釈して満足そうに微笑む。

「いや、違います!彼氏なんていないです!」

「あら、じゃあこの前片桐と一緒に仮眠室にお泊りしてたのは何?」

「え……っ!」

なぜそれを!
誰にも知られてないと思ったのに、なぜそれを葉月さんが知っているの!?

「だってあの日二人とも前日と同じ服装だったし、平井やけにすっきりした幸せそうな顔してたし、仮眠室にお泊りの時用の毛布が出してたし……。これはもうそういう事なのかなって、すぐわかったわ」

葉月さんの鋭さに私は絶句する。

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