□TRIFLE□編集者は恋をする□
なんか落ち着くなぁ。
このお店は洒落た料理はないけど、いつ来ても田舎のおばあちゃんの家に帰った時みたいな安心感がある。
「おばちゃん。それからビールも」
三浦くんがカウンターの中で手際よく料理をよそうおばちゃんに声をかける。
「残念。ビールは売り切れ」
当然のようにおばちゃんが言った。
「え?売り切れ?」
「そんなバカな。居酒屋でビールが売り切れなんてありえないでしょ。
しかも開店したばっかりなのに」
「お酒はいいから、黙って美味しいご飯食べなさい」
おばちゃんに私と三浦くんが口をとがらせていると、目の前にお茶碗によそわれた混ぜご飯ととろりとした煮汁のかかったかすべの煮つけが出された。
「うわー、美味しそう!いただきます」
あたたかな湯気をたてる料理を前にすると、おばちゃんへの不満も吹っ飛んだ。
三浦くんも私のマネをして「いただきます」と大きな声で言う。
「はいはい、めしあがれ」
まるで手のかかる子供の食事を見守る母のような顔をして、うれしそうにおばちゃんが笑った。