□TRIFLE□編集者は恋をする□
 


考えてみれば、付き合ってなんて言われてないし、好きだとも言われてない。
以前『彼女がいるの?』と聞いた時も、はっきりいると答えていた。
片桐はなにも嘘をついていない。

私が勝手に勘違いしていただけだ。
ようするに、勘違いして彼に惚れてしまった私がバカだったって話だ。


呪文のようにぶつぶつつぶやきながら仕事をしていると、通りがかったデガワに怯えた顔で見られた。

「なんか平井さんがこわーい!黒いオーラでてる!」

そりゃ七年間も恋愛経験のない独身女が、彼女持ちの同僚に遊ばれていたと自覚したら、黒いオーラくらい出る。

今日は片桐も編集長も外出していて、三浦くんは大学に行ってから出勤予定。

今編集部にいるのは葉月さんとデガワと私の三人だけだった。

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