□TRIFLE□編集者は恋をする□
「え!今日片桐さんの彼女と一緒に飲むんですか?」
珍しく早めに帰ろうとした私を捕まえた、デガワの目が輝いた。
『平井さんがこんな時間に帰るなんてなにかあるんでしょ!』としつこく聞かれ、渋々今日の予定を言った途端、デガワのテンションが上がった。
その顔を見て、やっぱり言わなければよかったと後悔する。
「本当はイヤだけど、ウエディング本の仕事関係のカメラマンと一緒だから、無下に断る訳にもいかないし……」
「直接対決ですね!」
直接対決ではなく、カメラマンの岩本さんが無理やり美咲さんを口説かないように見張るだけだ。
「それにしても、平井さんその恰好で闘いに行くんですか?」
「闘いじゃないってば。でもこの格好じゃダメ?」
何か変かな。
ボーダーのTシャツにグレーの七分丈のタックパンツ、その上にショート丈のトレンチコート。いつも通りの仕事の格好なんだけど。