□TRIFLE□編集者は恋をする□
「おはようございまーす」
遠くから聞こえてきた明るい声に、目を擦りながら顔を上げる。
こちらを見てぎょっとして固まる三浦くんの姿があった。
「あ、三浦くん……。おはよう」
ふわぁ、とあくびをしながら椅子の上で大きく伸びをする。
仕事に熱中するうちに、いつの間にか机につっぷしたまま寝ちゃってたんだ。
不自然な体勢で眠っていたおかげで凝り固まった筋肉をほぐすように、首を左右に曲げるとバキッと大きな音がした。
「なんでここに美咲さんがいるんですか?」
三浦くんは私の腕を掴んで立ち上がらせると、隣の椅子で同じように机につっぷして寝息をたてている美咲さんを指さして小声で言った。
「あぁ、なんか成り行きで仕事手伝ってもらっちゃって……」
「成り行きで朝まで一緒に仕事してたんですか?美咲さんと二人っきりで?」
「うん」
「ほんっとに平井さんって……」
呆れたようにつぶやく三浦くん。
また仕事バカだと言われるんだろうと思って、私はハイハイと適当な相槌をうちながら、美咲さんの膝から滑り落ちそうになっていたひざ掛けを取り、そっとその肩にかけ直した。