そして消えゆく君の声
黒崎くんが保健室に。
意外な遭遇にビックリしたのも束の間、そう言えば体育の時も見かけなかったと思い出す。
……やっぱり傷が痛いのかな。
靴を履くのもつらそうだったし、球技なんて出来ないよね。
「え…っと、ぐうぜん、だね」
「……」
「私、貧血起こしちゃって。ほら、今日暑いから」
「…………」
わざとらしく腕まくりして笑っても、伏せられた視線が上げられることはない。
前に立つ私なんて存在しないかのように本のページをめくる指。
表紙をささえるもう片方の手には、白く乾いた包帯が巻かれていて。
「黒崎くんは、怪我……」
大丈夫? とたずねかけた唇は、けれど小さな声にさえぎられた。
「……い」
「え?」
低いトーンが聞きとりにくくて、かるく顔をよせる。ようやくしゃべってくれた、なんてのん気に思いながら。
けれど。続く言葉はぞっとするほど冷ややかだった
意外な遭遇にビックリしたのも束の間、そう言えば体育の時も見かけなかったと思い出す。
……やっぱり傷が痛いのかな。
靴を履くのもつらそうだったし、球技なんて出来ないよね。
「え…っと、ぐうぜん、だね」
「……」
「私、貧血起こしちゃって。ほら、今日暑いから」
「…………」
わざとらしく腕まくりして笑っても、伏せられた視線が上げられることはない。
前に立つ私なんて存在しないかのように本のページをめくる指。
表紙をささえるもう片方の手には、白く乾いた包帯が巻かれていて。
「黒崎くんは、怪我……」
大丈夫? とたずねかけた唇は、けれど小さな声にさえぎられた。
「……い」
「え?」
低いトーンが聞きとりにくくて、かるく顔をよせる。ようやくしゃべってくれた、なんてのん気に思いながら。
けれど。続く言葉はぞっとするほど冷ややかだった