そして消えゆく君の声
「えっと、も、もうすぐ……文化祭だね」
「…………」
「私の友達が手芸部なんだけど、手芸部って三年生はドレス作ることになってて。あ、ドレスってウェディングドレスね。それで、この前ちょっと見せてもらったんだけど、すごく綺麗で……すごいよね、ああいうの――」
「興味ない」
…………そうだよね。
ここでウェディングドレスの話はないよね。
にべもない言葉に下を向く私。
そもそも、黒崎くんが文化祭に関心があるとは思えない。学校行事なんてほとんど参加しないのに。
それに、私がしたいのはそんな話じゃないはずだ。機嫌をうかがうための前置きなんていらない。
だから
息を吸い込んで、もう一度口を開く。
「幸記くん、元気?」
黒い目が、初めてこちらを見た。
カクン、とかたむく傘と、雨水の跳ねる音。
「……それなりに」
「そっか、良かった」
「……」
「八月からずっと会えてないから、心配で。電話で話した時は普通だったんだけど」
それなり、がどれくらいの範囲を示すのかはわからないけど、前より酷い状況にはなってはいないようで安心する。
「…………」
「私の友達が手芸部なんだけど、手芸部って三年生はドレス作ることになってて。あ、ドレスってウェディングドレスね。それで、この前ちょっと見せてもらったんだけど、すごく綺麗で……すごいよね、ああいうの――」
「興味ない」
…………そうだよね。
ここでウェディングドレスの話はないよね。
にべもない言葉に下を向く私。
そもそも、黒崎くんが文化祭に関心があるとは思えない。学校行事なんてほとんど参加しないのに。
それに、私がしたいのはそんな話じゃないはずだ。機嫌をうかがうための前置きなんていらない。
だから
息を吸い込んで、もう一度口を開く。
「幸記くん、元気?」
黒い目が、初めてこちらを見た。
カクン、とかたむく傘と、雨水の跳ねる音。
「……それなりに」
「そっか、良かった」
「……」
「八月からずっと会えてないから、心配で。電話で話した時は普通だったんだけど」
それなり、がどれくらいの範囲を示すのかはわからないけど、前より酷い状況にはなってはいないようで安心する。