そして消えゆく君の声

期末試験

「桂は、夏休みどうすんの?」


 期末試験初日の三時間目。

 第一の難関、英文法のテストを前にした教室は、緊迫した空気につつまれている。

 そんな中、ふいに頭上からふってきた声。顔をあげると、お菓子をくわえた雪乃がこちらを見下ろしていた。


「雪乃、行儀悪いよ」


 袋は机に置きなさいと手を出すと、肩をすくめて中身を差し出してくる。

 ……そういう意味で言ったんじゃないんだけど。まあいいか。


「期末始まったばっかりなのにもう休みの話?」

「別にいいでしょ、気分転換だって」


 けらけら笑いながら、新しい袋を開ける雪乃。


「夏休みかあ……まだぜんぜん決めてないんだよね」

「あんた休みの日はほぼ引きこもりだもんね」

「雪乃は? なにか予定とかあるの?」

「あたしはデート」

「あー、もしかして自慢しきたの?」
 
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