私が本物の令嬢です!

 グレンが冷静に訊ねる。

「令嬢、あんたの母は闘病の末に亡くなったことになっている」
「そ、そうですわ。それが何か……」
「実は、彼女の最期を看取ったのは、呪術師だけらしい。その呪術師も不審死を遂げている」

 グレンの言ったその意味を、フローラが理解する前に、セオドアが口にした。


「殺害、したのか?」
「うそ……!」

 フローラは口もとに手を当てて肩を震わせた。

「フローラ、あくまで仮定としての話だ。そうとは限らない。だが、真実をすべて明らかにしなければならないから、これ以上は君にとって酷な話だ。最後まで聞かなくてもいい」

 セオドアがフローラの肩を抱いて優しくそう言ってくれる。
 けれど、フローラはしばらく考えたあと、意を決して言い放った。


「私はすべてを知らなければならない。もう、逃げません」

 泣くのはすべてが終わってからだ。
 そう、決意した。



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