私が本物の令嬢です!

「それはよかった。もう少しだ。パーティの日に、君の運命は変わるだろう」
「ありがとうございます」

 フローラが立ち去ろうとすると、セオドアがその腕をつかんだ。
 名残惜しいという意思表示だろう。
 セオドアの表情が憂いに帯びている。


「こんなところを見られてしまっては、私たちの関係が疑われてしまいます」

 冷静なフローラの言葉にセオドアは「ああ、そうだな」と返し、その手を離した。
 フローラとて、このまま彼の胸に飛び込んでしまいたかった。
 けれど、それは今じゃない。


「すべてが終わったら、もう一度私の想いをお伝えします。必ず」

 そう言って、フローラはくるりと踵を返し、持ち場へ戻っていった。


 それから数日が経ち、以前とはまるで違う別人のようなフローラに、周囲の使用人たちは徐々に態度が変わり始めた。
 何かを悟ったのか、使用人たちはフローラに冷たく接することがなくなった。

 だが、先輩使用人だけは怒りに満ちていたようだ。




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