契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
見る目のある人は彼女のいいところきちんと見ていた。
 
和樹はため息ついて、会場の中央に飾られた大きな花を見つめた。
 
咲き誇る大輪の花。
 
だが、今夜の楓の足元にも及ばない。和樹にはそう思えた。
 
——今夜の楓は危険なくらい美しい。
 
和樹が選んだ若草色のイブニングドレスは清楚な彼女によく似合う、

まるで彼女のためにデザインされたようなドレスだ。

艶やかな黒い髪に飾られた白い生花の髪飾りは、瑞々しい春の野原を思わせた。
 
リビングルームではじめて彼女を目にした時は、このまま部屋に閉じ込めて誰にも見せたくないという思いに駆られたくらいだったのだ。

それでいて、彼女自身はその魅力にまったく気がついていないというアンバランスさが和樹の中の衝動を加速させ、いつもいつも和樹の判断力を鈍らせる甘やかな香りに誘われるようにして、気がついたら腕の中に閉じ込めていた。
 
……しかもそのまま……。
 
もしあの時、黒柳が呼びにこなければどうなっていたか、自分でもわからないから恐ろしい。

なんとか気持ちを切り替えてパーティに出席したはいいものの、彼女が会場中の男性ゲストの視線を集めているのが不快だった。
 
今夜、楓は和樹の隣にいる。
 
——だが将来はなにがあるかわからない。
 
胸の中の弱い自分が呟いた。

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