契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
彼の帰国は明日という話だが、いつかは聞いていない。万が一にでも鉢合わせしたくなかったからだ。
顔を見たら泣いてしまいそうだ。スーツケースは駅前のコインロッカーに置いてあるが、今夜寝る場所を確保しなくてはならない。
「今日はやめておこうかな」
そう言うと亜美はすぐに納得する。
「病み上がりですもんね。私もやめておこうかな。明日、久しぶりに彼と出かけるんです」
そしてふたり立ち上がった時。
「楓‼︎」
フロアに、楓を呼ぶ声が響き渡る。総務課があるあたり、照明が落ちたところからカツカツと靴音を響かせて足早にやってくる人物がいる。
和樹だ。
「楓!」
普段会社にいる時とは違い、髪は乱れジャケットもネクタイもしていない。
いつもの完璧なスタイルとは程遠い彼の姿に楓は目を剥いた。
他の社員たちも突然現れた彼に唖然としている。彼は一目散に楓を目指してやってくる。
そして固まる楓をいきなり抱きしめた。
「ああ、ここにいたのか‼︎ よかった……!」
「か、かず……ふ、副社長⁉︎」
おそらく走ってきたのだろう、シャツの下の身体が熱い。
まったく人目を気にする様子もない彼に、楓は目を白黒させた。
「な、ど、で、どうして……?」
「どうしてって、君が家にいないからだ! あんなメールをよこしておいて、家にいなかったから心配するだろう! 携帯を鳴らしても出ないし」
余裕なく彼は言う。
顔を見たら泣いてしまいそうだ。スーツケースは駅前のコインロッカーに置いてあるが、今夜寝る場所を確保しなくてはならない。
「今日はやめておこうかな」
そう言うと亜美はすぐに納得する。
「病み上がりですもんね。私もやめておこうかな。明日、久しぶりに彼と出かけるんです」
そしてふたり立ち上がった時。
「楓‼︎」
フロアに、楓を呼ぶ声が響き渡る。総務課があるあたり、照明が落ちたところからカツカツと靴音を響かせて足早にやってくる人物がいる。
和樹だ。
「楓!」
普段会社にいる時とは違い、髪は乱れジャケットもネクタイもしていない。
いつもの完璧なスタイルとは程遠い彼の姿に楓は目を剥いた。
他の社員たちも突然現れた彼に唖然としている。彼は一目散に楓を目指してやってくる。
そして固まる楓をいきなり抱きしめた。
「ああ、ここにいたのか‼︎ よかった……!」
「か、かず……ふ、副社長⁉︎」
おそらく走ってきたのだろう、シャツの下の身体が熱い。
まったく人目を気にする様子もない彼に、楓は目を白黒させた。
「な、ど、で、どうして……?」
「どうしてって、君が家にいないからだ! あんなメールをよこしておいて、家にいなかったから心配するだろう! 携帯を鳴らしても出ないし」
余裕なく彼は言う。