契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
そう言うと和樹は楓の額に手をあてる。楓の言うことが本当かどうか確認しているのだろう。

熱はなさそうだと思ったのか、ホッと息を吐いて手を離した。

「いいなぁ……楓さん。優しい旦那さまで」
 
亜美がうっとりとして呟いた。
他のメンバーももはや無表情を続けられなくなっている。口を押さえてぷるぷるしている者、後ろを向いて肩を震わせている者、両手で顔全体を覆っている者もいる。
 
そこで和樹が自分の振る舞いが皆に衝撃を与えていると気がついたようだ。

「問題ないならいいんだが」と取り繕うように呟いた。

 亜美がにっこりと、楓に笑いかけた。

「楓さんが体調を崩されるなんて、滅多にないから私心配だったんです。でも旦那さんがお迎えにきてくださったなら安心、安心」
 
和樹が気まずそうに瞬きをして、楓に向かって口を開いた。
「とにかく……帰ろうか」

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