契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「それにしても年明けの午前中にしてはハードでしたねー」
 
昼休みの廊下を楓は亜美と一緒に歩いている。食堂でランチを取った帰りである。
 
飯田が持ってきた仕事は、午前中でなんとか見通しがついた。

深刻なものではなかったが、確かに年明け一発目の仕事としてはやや重めの内容だ。

「ふふふ、さすが楓さん。あのトラブルを半日で終わらせちゃうなんて。私なら一日かかっちゃうな」

「亜美ちゃんが仕事を代わってくれたからよ。助かった」

「そんなのあたりまえですよ。それに私だけがやったわけじゃなくて、皆で少しずつ負担したんですから、なんてことないですよ」
 
そう言って亜美は肩をすくめた。
 
楓は、経理の仕事だけではなく経理課で働くことも自体も好きだった。

リーダーである飯田課長の穏やかな人柄もあってか、とにかくチームワークがいい。

月末、年度末など修羅場と化す時期も協力しあって乗り越えている。

多少のトラブルなんてなんともない。
 
そこで楓はBARでの和樹の言葉を思い出した。
 
経理部は、会社の要だと彼は言った。その通りだ。

事務職で誰にでもできる仕事だなんて言う者もいるが、それはまったくの間違いで、専門的な知識が必要な場面も多かった。

「さあ、午後からの分もさっさと終わらせて、定時退社するぞー。年明け第一日目なんだもん、残業なんてあり得ないですからね」
 
張り切る亜美に、楓が笑みを浮かべた時。

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