契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
やはりBARで会った男性に間違いない。彼は頷いて秘書の黒柳に向かって口を開いた。
「ありがとう。黒柳さん、君はもうあがっていいよ。今日の私の予定はもうないし、彼女との話は少し時間がかかるかもしれないから」
その言葉に黒柳は驚いたように目を開き、チラリと楓に視線を送る。
少し時間がかかると言われたことに戸惑っているようだ。
楓と彼がどのような話をするのか気になって仕方がないのだろう。
あなたはいったい彼のなんなのだというような探るような目で楓を見る。
楓はさりげなく目を逸らした。
副社長と自分は、少し話をしたことがあるだけの無関係な関係だ。なぜ呼び出されたのか楓自身にもわからない。
黒柳が和樹に視線を戻した。
「でも私、副社長の帰りのお車の手配をしなくてはなりませんので」
「いや今日は自分で帰るから大丈夫。ありがとう、お疲れさま」
黒柳がしぶしぶといった様子で頷いて、部屋を出ていった。
ドアが閉まると同時に和樹が立ち上がり、楓を部屋の一角にある応接スペースへと促した。
落ち着かない気持ちで腰を下ろすと、彼は向かい合わせに座りフッと笑う。
BARで話した相手が副社長だということに戸惑う楓をどこか面白がっているようだった。そして、そのままあの日の続きのように話しはじめた。
「あの日は、無事に帰れたかな?」
もはや逃げも隠れもできない状況に、楓は覚悟を決めて頷いた。
「はい。あのカクテルを飲んだらすぐに帰宅しました。ご馳走さまでした。心配して声をかけてくださったんですよね」
「ああ、場に慣れていないだけじゃなくて少しやけになっているようだったからね。あまり目つきのよくない男数人が、チラチラ君を見てるのも気になって。それなのに、途中で退席して申し訳なかった。あの後人と会うことになっていてね。男たちは帰っていたし、君も随分しっかりしたようだから大丈夫そうだと思ったんだが」
「ありがとう。黒柳さん、君はもうあがっていいよ。今日の私の予定はもうないし、彼女との話は少し時間がかかるかもしれないから」
その言葉に黒柳は驚いたように目を開き、チラリと楓に視線を送る。
少し時間がかかると言われたことに戸惑っているようだ。
楓と彼がどのような話をするのか気になって仕方がないのだろう。
あなたはいったい彼のなんなのだというような探るような目で楓を見る。
楓はさりげなく目を逸らした。
副社長と自分は、少し話をしたことがあるだけの無関係な関係だ。なぜ呼び出されたのか楓自身にもわからない。
黒柳が和樹に視線を戻した。
「でも私、副社長の帰りのお車の手配をしなくてはなりませんので」
「いや今日は自分で帰るから大丈夫。ありがとう、お疲れさま」
黒柳がしぶしぶといった様子で頷いて、部屋を出ていった。
ドアが閉まると同時に和樹が立ち上がり、楓を部屋の一角にある応接スペースへと促した。
落ち着かない気持ちで腰を下ろすと、彼は向かい合わせに座りフッと笑う。
BARで話した相手が副社長だということに戸惑う楓をどこか面白がっているようだった。そして、そのままあの日の続きのように話しはじめた。
「あの日は、無事に帰れたかな?」
もはや逃げも隠れもできない状況に、楓は覚悟を決めて頷いた。
「はい。あのカクテルを飲んだらすぐに帰宅しました。ご馳走さまでした。心配して声をかけてくださったんですよね」
「ああ、場に慣れていないだけじゃなくて少しやけになっているようだったからね。あまり目つきのよくない男数人が、チラチラ君を見てるのも気になって。それなのに、途中で退席して申し訳なかった。あの後人と会うことになっていてね。男たちは帰っていたし、君も随分しっかりしたようだから大丈夫そうだと思ったんだが」