契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「ああ、あの話を進めるために」
「あの話……?」
まったくわけがわからなかった。
首を傾げたまま固まっていると、和樹が説明をする。
「夫代行サービスの件だ。君と私は結婚するという話になったじゃないか。対外的に夫と妻のふりをするために。今日は細かいところを詰めようと思ってね」
「おっ……! えっ、ええ⁉︎」
信じられないことを言う和樹に、楓は大きな声をあげてのけぞるほど驚いた。
「あ、あれ、本気だったんですか⁉︎」
「もちろん本気だ。きまりだと言っただろう」
平然として答える和樹に楓は目を剥いた。
だってあれはお酒の席での冗談だ。それ以上でもそれ以下でもない。
「君は、養ってくれなくても一緒にいてくれなくてもいいから夫のフリをしてくれる人がいればいいのにと言った。私がなろうと言うと、君はありがとうございますと嬉しそうに答えていたじゃないか。覚えてないほど酔っ払っていたとは思えないが」
「そ、それはもちろん、覚えています。で、で、ですが私は……」
冗談のつもりだった。
むしろ冗談でなくてはあんなことは言わない。
和樹が眉を寄せた。
「まさか、本気ではなかったということか?」
その問いかけに楓はこくこくと頷いた。
和樹が難しい顔になって腕を組む。その表情には、明らかに不快感が滲んでいた。
就任直後の会社の役員を怒らせてしまっている。非常にまずい状況だ。
でもこの場合は仕方がないのだと、楓は自分自身に言い聞かせた。
「あの話……?」
まったくわけがわからなかった。
首を傾げたまま固まっていると、和樹が説明をする。
「夫代行サービスの件だ。君と私は結婚するという話になったじゃないか。対外的に夫と妻のふりをするために。今日は細かいところを詰めようと思ってね」
「おっ……! えっ、ええ⁉︎」
信じられないことを言う和樹に、楓は大きな声をあげてのけぞるほど驚いた。
「あ、あれ、本気だったんですか⁉︎」
「もちろん本気だ。きまりだと言っただろう」
平然として答える和樹に楓は目を剥いた。
だってあれはお酒の席での冗談だ。それ以上でもそれ以下でもない。
「君は、養ってくれなくても一緒にいてくれなくてもいいから夫のフリをしてくれる人がいればいいのにと言った。私がなろうと言うと、君はありがとうございますと嬉しそうに答えていたじゃないか。覚えてないほど酔っ払っていたとは思えないが」
「そ、それはもちろん、覚えています。で、で、ですが私は……」
冗談のつもりだった。
むしろ冗談でなくてはあんなことは言わない。
和樹が眉を寄せた。
「まさか、本気ではなかったということか?」
その問いかけに楓はこくこくと頷いた。
和樹が難しい顔になって腕を組む。その表情には、明らかに不快感が滲んでいた。
就任直後の会社の役員を怒らせてしまっている。非常にまずい状況だ。
でもこの場合は仕方がないのだと、楓は自分自身に言い聞かせた。