契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
このままでは、ほとんど初対面の人と結婚することになってしまう。
「も、申し訳ありません……」
楓が謝罪すると、和樹はまたため息をついて目を閉じる。そして目を開けて楓をジッと見た。
「須之内楓、二十七歳、経理部経理課所属。仕事の速さと正確さで上司からの評価は高く同僚たちからの信頼も厚い。規則に厳しく、他部署からの無理難題はきっぱりと撥ねつけるため、一部の社員からは『鉄の女』と呼ばれている」
突然、楓のプロフィール的なものをとうとうと語りだした彼に、楓は唖然としてしまう。
和樹が言葉を切り、眉を上げた。
「あだ名の件が不快だったら謝るよ。経理部内では褒め言葉だと聞いたのだが」
「も、問題ありません……」
戸惑いながら楓は答える。なんだか彼の雰囲気がさっきまでとは変わったような気がする。
和樹が頷いてから、どこか馬鹿にしたように楓を見た。
「だが優秀で規則に厳しいという評判は間違いのようだ。二日前に自ら約束したことも簡単に反故にするくらいなのだから。あるいは他人に厳しく自分には甘いタイプなのか」
挑発的な物言いにムッとして、楓は相手が上司だということも忘れて言い返す。
「そ、そんなことは……! た、確かに私はあの時、結婚しようと言いました。ですがそれを本気にする方がどうかと思います。お酒の席ですし、それに……だって結婚ですよ?」
会社で積み上げてきた実績と、BARでの戯言を一緒にされてはたまらない。
「結婚相手をそんなに簡単に決める方がおかしいと思います」
そっちが非常識なのだと指摘する。
和樹がニヤリとした。
「なるほど、君は男は信用できないから結婚などしないと言いながら、その実、結婚への夢を捨てきれていないようだ」
「なっ……!」
彼からの思いがけない切り返しに楓の頬が熱くなった。
「も、申し訳ありません……」
楓が謝罪すると、和樹はまたため息をついて目を閉じる。そして目を開けて楓をジッと見た。
「須之内楓、二十七歳、経理部経理課所属。仕事の速さと正確さで上司からの評価は高く同僚たちからの信頼も厚い。規則に厳しく、他部署からの無理難題はきっぱりと撥ねつけるため、一部の社員からは『鉄の女』と呼ばれている」
突然、楓のプロフィール的なものをとうとうと語りだした彼に、楓は唖然としてしまう。
和樹が言葉を切り、眉を上げた。
「あだ名の件が不快だったら謝るよ。経理部内では褒め言葉だと聞いたのだが」
「も、問題ありません……」
戸惑いながら楓は答える。なんだか彼の雰囲気がさっきまでとは変わったような気がする。
和樹が頷いてから、どこか馬鹿にしたように楓を見た。
「だが優秀で規則に厳しいという評判は間違いのようだ。二日前に自ら約束したことも簡単に反故にするくらいなのだから。あるいは他人に厳しく自分には甘いタイプなのか」
挑発的な物言いにムッとして、楓は相手が上司だということも忘れて言い返す。
「そ、そんなことは……! た、確かに私はあの時、結婚しようと言いました。ですがそれを本気にする方がどうかと思います。お酒の席ですし、それに……だって結婚ですよ?」
会社で積み上げてきた実績と、BARでの戯言を一緒にされてはたまらない。
「結婚相手をそんなに簡単に決める方がおかしいと思います」
そっちが非常識なのだと指摘する。
和樹がニヤリとした。
「なるほど、君は男は信用できないから結婚などしないと言いながら、その実、結婚への夢を捨てきれていないようだ」
「なっ……!」
彼からの思いがけない切り返しに楓の頬が熱くなった。