契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「そ、そんなことありません! 私、結婚に夢なんて見てませんから!」
「どうだか」
和樹は首を傾げた。
「結婚は愛し合ってするものだという夢を見てるから、簡単に決められないなどと言うんだろう」
その言葉に楓はぐっと詰まる。確かにそうかもしれない。
短時間で相手のこともよく知らないのに決められないと思うのは、結婚とは情というものを通い合わせるべきだという考えがあるからかもしれない。
真の仮面夫婦ならば、その必要はまったくない。
和樹が身を乗り出した。
「いいか? これは結婚ではなく契約だ。夫代行サービスだと君が言ったんじゃないか。それともなにか? 君は車を買うときに、営業社員との相性まで見極めるでもいうのか?」
からかうように尋ねられても、答えられなかった。
「私だって生涯をともにする相手を選ぶというならば、こんなにすぐに決めたりはしない。だが取引ならば話は別だ。むしろ、タイミングを間違えず、チャンスを逃さないようにするのはビジネスの鉄則だ。どんなに巨額の取引でも自分側にメリットがあり、相手が信用できるならば、即決することもある」
「……副社長は私を契約の相手として信用できるとお思いになられたというわけですか? あの短時間で?」
悔し紛れにそう問いかけると、意外にも彼は素直に頷いた。
「ああ、そうだ」
そして楓を真っ直ぐに見た。
「まず君が抱えている込み入った事情。少々複雑だが君は酒が入っているにもかかわらず、簡潔に無駄なく話をした。前知識などまったくない私が一度聞いただけですんなりと理解できるくらいにね。頭のいい女性だと思ったよ」
意外なくらい褒められて、楓は面くらう。あの夜は、むしゃくしゃした気持ちを吐き出すように話をした。
彼の方はあまり口を挟むことなく聞いていたが、そんなことを考えていたのか。
「どうだか」
和樹は首を傾げた。
「結婚は愛し合ってするものだという夢を見てるから、簡単に決められないなどと言うんだろう」
その言葉に楓はぐっと詰まる。確かにそうかもしれない。
短時間で相手のこともよく知らないのに決められないと思うのは、結婚とは情というものを通い合わせるべきだという考えがあるからかもしれない。
真の仮面夫婦ならば、その必要はまったくない。
和樹が身を乗り出した。
「いいか? これは結婚ではなく契約だ。夫代行サービスだと君が言ったんじゃないか。それともなにか? 君は車を買うときに、営業社員との相性まで見極めるでもいうのか?」
からかうように尋ねられても、答えられなかった。
「私だって生涯をともにする相手を選ぶというならば、こんなにすぐに決めたりはしない。だが取引ならば話は別だ。むしろ、タイミングを間違えず、チャンスを逃さないようにするのはビジネスの鉄則だ。どんなに巨額の取引でも自分側にメリットがあり、相手が信用できるならば、即決することもある」
「……副社長は私を契約の相手として信用できるとお思いになられたというわけですか? あの短時間で?」
悔し紛れにそう問いかけると、意外にも彼は素直に頷いた。
「ああ、そうだ」
そして楓を真っ直ぐに見た。
「まず君が抱えている込み入った事情。少々複雑だが君は酒が入っているにもかかわらず、簡潔に無駄なく話をした。前知識などまったくない私が一度聞いただけですんなりと理解できるくらいにね。頭のいい女性だと思ったよ」
意外なくらい褒められて、楓は面くらう。あの夜は、むしゃくしゃした気持ちを吐き出すように話をした。
彼の方はあまり口を挟むことなく聞いていたが、そんなことを考えていたのか。