契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「次にその困難な状況に対して君がしてきたことだ。君は自らが置かれている苦境に屈することなくやれることをやってきた。我が社の採用試験は狭き門だ。経済的な負担を背負いながら突破するのは容易ではない。その反骨精神は目を見張るものがある」
楓は驚いて目を見開く。
実家から出るために楓がやってきたことを褒められたのははじめだ。
両親からはネガティブな反応しかなかったし、友人たちには詳しく話をしていない。
「最後に決め手となったのは、君の男に対する諦めが本物だと感じたことだ。仮面夫婦として結婚しておきながら、好きになられたのでは意味がないからね。たいていの女性は、私が声をかけるとそわそわするものだ。どうにかして連絡先を聞き出そうとする者も少なくはない。だが君は話しをしている間中、一貫して私自身には興味を示さなかった。……以上が私は君を契約相手として相応しいと判断した理由だ」
なにか問題でも?というかのように彼は眉を上げて口を閉じた。
その態度に、楓は開いた口が塞がらない。
なんて高慢な人なのだ。
自分の容姿が女性を惹きつけるということをよく知っているだけでなく平然として口にできるなんて。
とはいえ話の筋は通っていた。
確かにこの件、結婚ではなく契約だと見るならば彼の言うことが正しいような気がする
和樹がにっこりと微笑んだ。
「ではもう一度、この契約のメリットを確認しよう。君が私と結婚すれば、私は君のご両親が納得するような完璧な夫を演じてみせる。……お父さまからの連絡は?」
「まだあります。無視していますけど」
あの日から二日間経つが、断続的に着信がある。おそらくは父から言われたであろう母からも。
和樹が、予想通りと言うように頷いた。
「私と結婚すれば、君はそういった悩みから完全に解放されて、静かで穏やかな生活を手に入れられる。仕事にも集中できるだろう。さらにもうひとつ、君が気がついていないメリットがある。君は、今社員寮に入っているね?」
「え? あ……はい」
三葉商船の社員寮は、会社から近くの一等地にあり築浅なのに寮費は割安、奨学金を抱える楓にとってはありがたい存在だ。
楓は驚いて目を見開く。
実家から出るために楓がやってきたことを褒められたのははじめだ。
両親からはネガティブな反応しかなかったし、友人たちには詳しく話をしていない。
「最後に決め手となったのは、君の男に対する諦めが本物だと感じたことだ。仮面夫婦として結婚しておきながら、好きになられたのでは意味がないからね。たいていの女性は、私が声をかけるとそわそわするものだ。どうにかして連絡先を聞き出そうとする者も少なくはない。だが君は話しをしている間中、一貫して私自身には興味を示さなかった。……以上が私は君を契約相手として相応しいと判断した理由だ」
なにか問題でも?というかのように彼は眉を上げて口を閉じた。
その態度に、楓は開いた口が塞がらない。
なんて高慢な人なのだ。
自分の容姿が女性を惹きつけるということをよく知っているだけでなく平然として口にできるなんて。
とはいえ話の筋は通っていた。
確かにこの件、結婚ではなく契約だと見るならば彼の言うことが正しいような気がする
和樹がにっこりと微笑んだ。
「ではもう一度、この契約のメリットを確認しよう。君が私と結婚すれば、私は君のご両親が納得するような完璧な夫を演じてみせる。……お父さまからの連絡は?」
「まだあります。無視していますけど」
あの日から二日間経つが、断続的に着信がある。おそらくは父から言われたであろう母からも。
和樹が、予想通りと言うように頷いた。
「私と結婚すれば、君はそういった悩みから完全に解放されて、静かで穏やかな生活を手に入れられる。仕事にも集中できるだろう。さらにもうひとつ、君が気がついていないメリットがある。君は、今社員寮に入っているね?」
「え? あ……はい」
三葉商船の社員寮は、会社から近くの一等地にあり築浅なのに寮費は割安、奨学金を抱える楓にとってはありがたい存在だ。