契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「ただより怖いものはないと言います。副社長はどうしてそこまでして私と結婚しようとするのですか?」
「私の方も独身だということで両親を含む周りからうるさく言われている。その声を抑えたいと先日言ったはずだが」
確かに彼はBARでそう言っていた。でもそれで楓は納得できなかった。
「副社長ほどの方が周りからの声をそれほど気にするようには思えません。そもそもどうして結婚しないのですか? 私と違って結婚を嫌がる必要はなさそうなのに。副社長がその気になれば相手はすぐに見つかりそうですが」
思いつくままに疑問を口にすると、彼はますます険しい表情になった。
言いすぎだという考えが頭をよぎる。けれど口は止まらなかった。
「この結婚、私側のメリットに対して副社長にとってのメリットがあまりないように思います。それなのに、私を丸め込んでまで結婚しようとする副社長のことを私には信用できません!」
言い切って彼を見る。ややきつい言い方になってしまったが、これは楓にとっての処世術だ。
実家に頼らず結婚せずにひとりで生きていくためには、うまい話に騙されないようにしなくてはならない。
和樹は険しい表情のままソファに肘をついて思案している。
その様子に楓は叱られることを覚悟するが、意外なことに次の瞬間彼はフッと笑った。
「なるほど。君は本当に賢いな」
唇に手をあてて、また考えている。そして楓に聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた。
「私の方も独身だということで両親を含む周りからうるさく言われている。その声を抑えたいと先日言ったはずだが」
確かに彼はBARでそう言っていた。でもそれで楓は納得できなかった。
「副社長ほどの方が周りからの声をそれほど気にするようには思えません。そもそもどうして結婚しないのですか? 私と違って結婚を嫌がる必要はなさそうなのに。副社長がその気になれば相手はすぐに見つかりそうですが」
思いつくままに疑問を口にすると、彼はますます険しい表情になった。
言いすぎだという考えが頭をよぎる。けれど口は止まらなかった。
「この結婚、私側のメリットに対して副社長にとってのメリットがあまりないように思います。それなのに、私を丸め込んでまで結婚しようとする副社長のことを私には信用できません!」
言い切って彼を見る。ややきつい言い方になってしまったが、これは楓にとっての処世術だ。
実家に頼らず結婚せずにひとりで生きていくためには、うまい話に騙されないようにしなくてはならない。
和樹は険しい表情のままソファに肘をついて思案している。
その様子に楓は叱られることを覚悟するが、意外なことに次の瞬間彼はフッと笑った。
「なるほど。君は本当に賢いな」
唇に手をあてて、また考えている。そして楓に聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた。