契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「必要ではないが、あったってかまわないだろう?」
 
唐突に遮られてしまい口を閉じる。和樹だった。
 
窓際のソファにいたはずが、いつのまにか楓の後ろに立っている。

彼は楓の肩を優しく抱いて鏡越しににっこりと笑いかけた。

突然割り込まれて目を丸くする楓をよそに、スタッフに向かって説明をする。

「こういう飾り気のないところが彼女の魅力なんだが、今日は少し着飾らせてみたいと思ってね」
 
その言葉にスタッフたちが、一斉に笑顔になった。

「ええ、ええ! 可愛らしいデザインもよくお似合いになると思います」
 
彼らのお世辞に彼は満足そうに頷いて、楓の耳に唇寄せた。

「楓、君の好みは知っているし、そのままの君も俺は好きだ。でも今日は少し冒険をしてみないか? レースもフリルも綺麗な色も君によく似合うと思うよ」
 
恐ろしいくらいの甘い言葉に、楓は息が止まりそうになってしまう。

これはあくまでも夫婦のフリで、彼の本心ではないとわかっていても、頬が熱くなるのを止められない。

こんな甘いセリフ、経験のない楓にとっては刺激が強すぎる。

「わ、わかりました……。やってみます」
 
そう答えるのが精一杯、でもそれで和樹は満足したようだ。

はじめに見せられた白いカットソーとスカートを手に取った。

「とりあえず、試着してみたら? 楓にはよく似合うと思うよ」

「わ、わかりました……。か、和樹さん」
 
スタッフがニコニコとして口を開いた。

「では、フィッティングのご準備をいたします」
 
さっそく彼らは簡易のフィッティングルームの準備に取り掛かる。

< 65 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop