契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
結局、和樹が納得する量の洋服を揃えるのに午前中いっぱいかかってしまった。
昼食はルームサービスで簡単に済ませてから、次に取り掛かったのは、アクセサリー選びである。
ソファに座り正面に置かれた鏡に映る自分を見て、楓は心の中でため息をつく。首元でキラキラと輝いているのはダイヤモンドである。
「よくお似合いですよ」
スタッフが胸のところで手を合わせて大袈裟に声をあげる。彼女とは反対に、楓の心はずんと重くなった。
午前中に揃えた洋服も楓からみたらあり得ない値段だと思ったが、ネックレスは桁違いだ。
こんな物着けて会社に行くなんてできそうにない。
「オフィスシーンでしたらやはりホワイトゴールドが人気ですが、ピンクゴールドも肌馴染みがよくておすすめです。奥さまの好きなお石がおありならオーダーすることもできますが……」
お石とはすなわち宝石のことだろう。楓は慌てて首を振った。
「と、特には……!」
キラキラ光る宝石は、むしろない方がありがたい。
こうやってためしにつけているだけでなんだか、ひやひやとして落ち着かないくらいなのだから。
「石は、あまり付いてない方が……」
楓が、遠慮がちにネックレスを外してベルベット素材のアクセサリー置きに置くと、スタッフが心得たように頷いた。
「なら、おすすめのシリーズがございます。少々お待ちくださいませ」
そう言って彼女は離れていく。
すると隣にいた和樹がそれを見計らったように小声で楓に問いかけた。
「どうかしたのか? 真っ青だぞ」
桁違いの価格のアクセサリー選びに、完全にビビッてしまっている楓を不思議に思ったようだ。
「体調でも悪いのか?」
楓はスタッフが戻ってこないのを確認して、小声で答えた。
「そうじゃないです。でも……お、お、値段が……!」
「値段?」
「アクセサリーのお値段です。私、こんなの会社に着けていけません……!」
買い物中にあからさまに値段のことを口にするなんてマナー違反かもしれないが、でもこの場合はやむを得ないだろう。
このままでは、ただ妻のふりをするためだけに、とんでもない費用を彼に負担させることになってしまう。
その言葉に、和樹は一瞬驚いたような表情なる。そしてずらりと並ぶアクセサリーと楓を見比べた後、次の瞬間噴き出した。
そのまま楓から顔を背けてクックッと肩を揺らして笑っている。
「そんなことで……!」
「そ、そんなことって……。私にとってはすごく大変なことなんです! あ、あんな物、会社に着けていけません」
その彼の意外な反応に楓はドキドキしてしまう。
彼が笑うのを見るのは随分と久しぶりだ。確か、あのBARでも見たような気がするが、あの時は互いによそ行きの顔だった。
「着けられるよ……! オフィスにぴったりだって、スタッフが言ってたじゃないか」
笑いながら彼は言う。
昼食はルームサービスで簡単に済ませてから、次に取り掛かったのは、アクセサリー選びである。
ソファに座り正面に置かれた鏡に映る自分を見て、楓は心の中でため息をつく。首元でキラキラと輝いているのはダイヤモンドである。
「よくお似合いですよ」
スタッフが胸のところで手を合わせて大袈裟に声をあげる。彼女とは反対に、楓の心はずんと重くなった。
午前中に揃えた洋服も楓からみたらあり得ない値段だと思ったが、ネックレスは桁違いだ。
こんな物着けて会社に行くなんてできそうにない。
「オフィスシーンでしたらやはりホワイトゴールドが人気ですが、ピンクゴールドも肌馴染みがよくておすすめです。奥さまの好きなお石がおありならオーダーすることもできますが……」
お石とはすなわち宝石のことだろう。楓は慌てて首を振った。
「と、特には……!」
キラキラ光る宝石は、むしろない方がありがたい。
こうやってためしにつけているだけでなんだか、ひやひやとして落ち着かないくらいなのだから。
「石は、あまり付いてない方が……」
楓が、遠慮がちにネックレスを外してベルベット素材のアクセサリー置きに置くと、スタッフが心得たように頷いた。
「なら、おすすめのシリーズがございます。少々お待ちくださいませ」
そう言って彼女は離れていく。
すると隣にいた和樹がそれを見計らったように小声で楓に問いかけた。
「どうかしたのか? 真っ青だぞ」
桁違いの価格のアクセサリー選びに、完全にビビッてしまっている楓を不思議に思ったようだ。
「体調でも悪いのか?」
楓はスタッフが戻ってこないのを確認して、小声で答えた。
「そうじゃないです。でも……お、お、値段が……!」
「値段?」
「アクセサリーのお値段です。私、こんなの会社に着けていけません……!」
買い物中にあからさまに値段のことを口にするなんてマナー違反かもしれないが、でもこの場合はやむを得ないだろう。
このままでは、ただ妻のふりをするためだけに、とんでもない費用を彼に負担させることになってしまう。
その言葉に、和樹は一瞬驚いたような表情なる。そしてずらりと並ぶアクセサリーと楓を見比べた後、次の瞬間噴き出した。
そのまま楓から顔を背けてクックッと肩を揺らして笑っている。
「そんなことで……!」
「そ、そんなことって……。私にとってはすごく大変なことなんです! あ、あんな物、会社に着けていけません」
その彼の意外な反応に楓はドキドキしてしまう。
彼が笑うのを見るのは随分と久しぶりだ。確か、あのBARでも見たような気がするが、あの時は互いによそ行きの顔だった。
「着けられるよ……! オフィスにぴったりだって、スタッフが言ってたじゃないか」
笑いながら彼は言う。