契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「なるほど、さすがは奥さま。効果は絶大でした。評判通り優秀な方ですね」
「どうだろう? 彼女自身は狙ったわけじゃなさそうだったが。そもそもアクセサリーを選びはじめた時は、青ざめてろくに口もきけない状態だった」
「……青ざめて?」
「ああ、値段にビビッていたようだ」
言いながら、和樹はアクセサリーを選んでいた時の楓の様子を思い出していた。
『私、こんなの会社に着けていけません……!』
あわあわと言っていた楓を思い出し、また笑いが込み上げてくる。
口もとを手で多い肩を揺らした。
「俺、アクセサリーの値段を知って喜ばれたことはあるけど、青ざめる女ははじめて見たよ……」
この世の終わりのような顔をしてダイヤモンドのネックレスを試着していた姿がおかしかった。
控えめだけど輝きが美しいシンプルなネックレスは彼女によく似合っていたというのに。
と、そこでクローバーのネックレスを着けてやった際の彼女のうなじとふわりと感じた無垢な香りが頭に浮かび、なにかが込み上げてくるような感覚に襲われる。
和樹は笑いを引っ込めた。
契約継続を決めた時の夜もそうだったが、彼女のあの香りは、和樹の中の思考力や集中力を鈍らせるようだ。
ただ女性のネックレスの金具を着けるという、和樹にとっては手慣れた行為でさえうまくできなくなったのだから。
咳払いをして顔を上げると、一ノ瀬が驚いたような表情で固まっている。
和樹は首を傾げた。
「どうかしたか?」
「……いえ」
一ノ瀬が取り繕うように瞬きをした。
「なんでもありません。ですが謎がひとつ解けました」
「……謎?」
「はい、今週の副社長がお元気だということの謎です」
「どうだろう? 彼女自身は狙ったわけじゃなさそうだったが。そもそもアクセサリーを選びはじめた時は、青ざめてろくに口もきけない状態だった」
「……青ざめて?」
「ああ、値段にビビッていたようだ」
言いながら、和樹はアクセサリーを選んでいた時の楓の様子を思い出していた。
『私、こんなの会社に着けていけません……!』
あわあわと言っていた楓を思い出し、また笑いが込み上げてくる。
口もとを手で多い肩を揺らした。
「俺、アクセサリーの値段を知って喜ばれたことはあるけど、青ざめる女ははじめて見たよ……」
この世の終わりのような顔をしてダイヤモンドのネックレスを試着していた姿がおかしかった。
控えめだけど輝きが美しいシンプルなネックレスは彼女によく似合っていたというのに。
と、そこでクローバーのネックレスを着けてやった際の彼女のうなじとふわりと感じた無垢な香りが頭に浮かび、なにかが込み上げてくるような感覚に襲われる。
和樹は笑いを引っ込めた。
契約継続を決めた時の夜もそうだったが、彼女のあの香りは、和樹の中の思考力や集中力を鈍らせるようだ。
ただ女性のネックレスの金具を着けるという、和樹にとっては手慣れた行為でさえうまくできなくなったのだから。
咳払いをして顔を上げると、一ノ瀬が驚いたような表情で固まっている。
和樹は首を傾げた。
「どうかしたか?」
「……いえ」
一ノ瀬が取り繕うように瞬きをした。
「なんでもありません。ですが謎がひとつ解けました」
「……謎?」
「はい、今週の副社長がお元気だということの謎です」