エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
盗み聞きのようなことをして決まりが悪いのか、麻人さんは伏し目がちにそう語った。
まさか、会話の一部始終を麻人さんに聞かれていたなんて思わなかった。
とはいえ麻人さんに悪気はないだろうし、むしろ私を心配してくれたんだろう。
「そうだったんですね。あの人……実は胡桃の父親なんです」
「胡桃の?」
「はい。でも、生物学上そうであるというだけで、あの人は私のことをなんとも思っていないずです。だから、どうしてプロポーズなんてしてきたのか私も困惑しているところで」
麻人さんに笑ってほしくて無理やり明るく話してみたものの、彼は眉間に皺を寄せる。
なんだか誤解させるような言い方をしてしまったのかもと気づいた時には、麻人さんにギュッと抱きしめられていた。
えっ? 突然どうして……?
パニックになり離れようとするが、麻人さんの体はびくともしない。
「麻人さん?」
「なんだよそれ。そいつ、亜椰ちゃんのこと弄んで捨てたってこと?」
「いえあの……勝手に逃げたのは私なので、捨てられたわけじゃないんですけど」