エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
自分でも、あの夜が瑛貴さんが本気じゃなかったのは理解している。だけど一番悪いのは、わかっていたのに彼に身を委ねた私だ。
瑛貴さんは何度も、逃げ道を用意してくれていたもの……。
「亜椰ちゃん、それ、洗脳されてるよ」
「えっ?」
物騒な言葉に驚き、思わず麻人さんの目を見る。
麻人さんはパッと体を離し、私の両肩を掴んだ。
「目を覚ました方がいい。胡桃をひとりで亜椰ちゃんに産ませて、育てさせて、子育ての一番つらい時期が終わってから会いに来た薄情なヤツを庇うなんて間違ってる」
「いえ、でも……」
「どうせ養育費ももらってないんだろ? 自分はあんないい車に乗っているくせして娘には一銭も渡さないなんて、とんだモラハラ野郎だ」
養育費だなんだと言われても、そもそも、瑛貴さんは胡桃が自分の子だと知らないのだ。
黙っていようと決めたのは私なので、彼に責任はない。
「ご心配ありがとうございます。でも、彼とはもう関わるつもりもないので大丈夫です」
「……本当に?」
聞き返されると、胸に微かな動揺が走る。関わらないようにしようと思っているのは嘘じゃないのに、いったいどうしてだろう。