敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

クローゼットの中に置かれた鏡に改めて自分を映し出す。

当事者のふたりはもちろんだが、ほかの出席者たちもそれなりにおしゃれをして来るだろう。

(そんな会場にジーパンで乗り込むなんて……)

とはいえ一緒に行ってくれる聖も似たようなスタイル。七緒だけがめかし込んだらかえっておかしい。それに気合を入れてドレスを着たら、逆に唯斗をまだ忘れられずに引きずっていると思われるのではないか。もう一度振り向かせようと意気込んでいるみたいだ。


「それだけはイヤ」


もうなんとも思ってない。ふたりなんて眼中にないと見せるなら、普段着のまま行くほうがいいのかもしれない。聖もそう考えて七緒にわざわざ伝えにきたのだろう。


「……よし、このまま行こう」


鏡に映った自分に頷く。
七緒はいつも使っているバッグを掴んで部屋を出た。

リビングでコーヒーを飲んでいた聖が、七緒に「飲む?」とカップを持ち上げる。
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