敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「心配するな。俺がついてるから」
それまでのからかい口調から声のトーンがガラッと変わる。七緒に言い聞かせるように囁いた。
意図せず胸の奥がきゅうっと詰まったようになる。それと同時に、本当に大丈夫だと心強くなる不思議。絶対的な味方を得て、指で持ち上げなくても自然と口角が上がる。
「はい」
聖は笑顔で返した七緒の頭をくしゃっと撫で、「そろそろ行こう」と立ち上がった。
マンションの地下駐車場から七緒を乗せた聖の車が走りだす。
「ところで、どこへ行くんですか?」
下準備と言っていたが、なにをするつもりだろう。
「いいところ」
「もったいぶらないで教えてください。なにかおいしいものを食べるんですか?」
出陣前の腹ごしらえの意味合いとか。