敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
聖に連れていかれたのは、街のざわめきから離れたビルの地下一階。隠れ家的にひっそりとある天ぷらの店だった。
しっとりと落ち着いた雰囲気の店内は大人のデートにぴったり。店主に電話を入れ、オープン時間を少し早めてもらったため、店内は七緒たちふたりだけだ。
カウンターで店主とも会話を交わしながら、対馬の車海老、北海道産アワビ、千葉県産の菜花など、こだわりの食材を目の前で揚げてもらいつつ箸を進める。
揚げ方のコツや隠し味をこっそり教えてもらいながら、おいしい料理を心ゆくまで堪能した。
「ほんっとうにおいしかった」
これまで食べた天ぷらはなんだったのかと疑念を抱くくらい極上の味だった。聖の言っていた〝最高においしいもの〟でお腹が満たされ大満足である。
「かなり食べたよな」
「自分でもびっくりです。ご馳走様でした」
「でも俺は、七緒の作る料理のほうが絶品だと思うぞ」
「またまたー。それは褒め過ぎですから」
思わず聖を肘で小突いたら、彼はオーバーに痛がって七緒を笑わせた。