敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
その後に訪れる展開を想像して、体じゅうの血が沸騰しそうになる。ぶんぶん頭を振って妄想をやり過ごしたが、すりガラスのドアの向こうでシャワーを浴びている聖の姿がうっすら見えるから堪らない。
そそくさと目を逸らしてドライヤーのスイッチを入れ、高速で髪を乾かして慌ただしくそこを出た。
螺旋階段を上がって聖の部屋のドアを開ける。何度か起こすために入ったことはあるが、今夜の目的はべつにあるため緊張が否応なく七緒に襲いかかった。
(どうしよう……)
最高の夜にしてくださいなんて大胆な発言をしておきながら、七緒はそもそもキスより先の経験がない。大きく出過ぎたと今さらながら後悔だ。
ひとまずベッドの隅にちょこんと腰を下ろしたが、心が浮足立って落ち着かない。かといってなにかすることもなく、明日の夕食のメニューを決めようと考えつく。
(冷蔵庫にあるのはたしか鶏のひき肉と冬瓜と……)
ところが、あれこれ材料を思い浮かべているうちに部屋のドアが開いて聖が入ってきた。白いTシャツにハーフパンツのラフな格好だ。
「もう出たんですか!?」