敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

たぶん十分も経っていない。


「即行で入ってきた」
「ゆっくりあたたまらなきゃダメじゃないですか」
「七緒が待ってると思ったら、いてもたってもいられなかった。それにこれから否応なく熱くなるから心配いらない」


その言葉の真意をすぐに察して目をあちらこちらに泳がせていたら、いきなり視界が反転する。聖にベッドに押し倒されたが、びっくりして声も出なかった。

聖が片手を背中に回し、七緒をたやすくベッドの真ん中に移動させる。七緒の髪を優しく撫で、もういっぽうで指を絡ませた手が熱い。


「七緒」


注がれる視線と声の甘さに耳が、体が、心が痺れる。愛おしさの込められた瞳に息をするのも忘れてしまう。


「最高の夜にしよう」


落ちてきた唇を七緒は寸でのところで胸を押して止めた。
なに?と訝しげに聖が目を細める。これからってときに止めるなと言いたげだ。
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